スマホ、ゲーム、YouTubeとケンカしない家がしている3つの工夫〜「画面時間の正しい扱い方」と「子どもの本来の遊び=学び」を取り戻す〜

子育ての現場で、いま最も多い悩みのひとつが「スマホ・ゲーム・YouTubeとのバトル」です。
- 「あと5分で終わりって言ったよね!?」
- 「もうやめなさーい!!!」
- 「宿題しないなら没収!!」
こんな攻防戦が毎日のように繰り返され、
親も子もぐったり……という家庭は、実はとても多い。
しかし、スマホやゲームとケンカしない家には、
たった3つの共通点 があります。
その3つとは――
① 見えないところで“仕組み”を整えている
② 本来の「遊び=学び」へ自然に戻せる環境をつくっている
③ ルールが“あいまい”ではなく、“一貫している”
この3つです。
これは、気合いでも忍耐でもありません。
「心と身体を整える」ための科学的アプローチ なのです。
1)スマホやゲームが目に入らない“環境づくり”
まず大前提として、画面視聴時間は「少なければ少ないほど良い」という科学的事実があります。
なぜか?
子どもがゲームや動画に夢中になっているとき、
脳は決して「創造」や「思考」をしているわけではありません。
脳科学的に言えば、高刺激の光と音の“受動的シャワー”を浴びているだけ。
子どもが能動的に考える「遊び=学び」とは、真逆の状態なのです。
さらに恐ろしいのは、
ゲームやYouTubeの刺激は 大人でも抗えないレベル で強く、
依存性を生むように設計されています。
だから、「子どもが自分で管理する」は絶対に無理なんです。
大人でもできないのだから。
だからこそ、家がやるべき1つ目の工夫は
【画面への導線を“物理的に”遠ざけること】
- リビングにスマホやタブレットを置かない
- 充電器を子どもの手に届かない場所にする
- ロック機能を徹底しておく
- そもそも目につかない収納にする
「見えない=ほしくならない」。これは心理学でも有名な法則です。
スマホ、ゲーム、YouTubeとケンカしない家は、ここを徹底しています。
2)「じゃあ何する?」に困らない家は強い
画面時間を減らせたとしても、
次にぶつかる壁がこれです。
「じゃあ何をしたらいいの?」問題。
親としては、
「もっと本を読んでほしい」
「外で遊んでほしい」
と考えるけれど、
子どもは画面に慣れすぎていると刺激の低い遊びに戻りにくい。
ここが勝負どころです。
大切なのは、
【子どもの“本来の遊び=学び” に戻れる環境を用意すること】
たとえば:
- ダンボールや工作道具
- 積み木・ブロック・レゴ
- 紙・ペン・折り紙・画用紙
- 図鑑、絵本、地図
- 外遊び道具(縄跳び、バドミントン、虫かご)
を、最も目につくところ、手に取りやすいところに置いておく。
要するに、「身体を使い、想像し、試行錯誤する場」を、子どものすぐそばに置いておく。
YouTubeやゲームは“刺激が強すぎる”ので、それよりも弱い刺激の遊び(本来の遊び=学び)に戻るには、大人の “環境の仕掛け” が必要です。
子どもの心と身体が整い、学力の伸びにつながるのは、こうした素朴で身体的でクリエイティブな遊びです。
3)ルールは “一貫性” がすべて
スマホとのバトルが激しい家ほど、実はルールが「なんとなくゆるめ」になっていることが多いです。
「今日は特別ね」
「まあ、いいか……」
「もう1回だけ続けたい?……じゃあ、あと少しだけね」
この“ちょっとした譲歩”が積み重なると、
子どもにとっては
「ルールは交渉次第で変えられる」
という学習になります。
これが、毎日のバトルの根っこです。
一方で、スマホとケンカしない家は違います。
怒鳴るわけでも、厳格なわけでもなく、淡々と、一貫している。
【使えないときは、使えない。】
【守れなかったら、次回は使えない。】
これだけです。
一貫性とは「厳しさ」ではありません。
むしろ、子どもの心を安定させるための優しさ です。
子どもは、「今日はOK?」「今日はだめ?」「なんで昨日は許されたの?」
という不確かな世界で生きると、不安になります。
だからこそ、
ルールが“変わらない”家は静かになる。
曖昧な家はイライラが増えていく。
これは不思議に見えて、じつは脳の仕組みどおり。
人は「予測できる環境」が最も安心するからです。
画面視聴時間を整えたあとに大事なのは「この子は本当は何をしたい?」を見ること
子どもが
「もっと動画見たい!」
「ゲームまだ終わらない!」
と言っているとき、親の目には “強い集中力” に見えるかもしれません。
でも、本当は違います。
それは「遊び=学び」への意欲ではなく、“強い刺激に脳が引っ張られているだけ”
なのです。
ゲームや動画が終わるとぐずるのも、やりたくて仕方なくなるのも、その刺激に“心地よく乗っ取られている”だけ。
だからこそ、
画面を遠ざけた“そのあと”に注目してほしいのです。
親が見るべき問いはひとつ。
「さて、この子は本当は何をしたいんだろう?」
その答えは、案外シンプルです。
- ダンボールで秘密基地を作りたいのかもしれない
- 石を集めたいのかもしれない
- ただ紙に落書きしたいだけかもしれない
- ひたすら外を走りたいのかもしれない
- なんとなくぼーっとしたいだけかもしれない
親から見ると「それでいいの?」と思うようなことも、
子どもにとっては立派な遊びであり、学びの入口。
子どもの自然な欲求は、本来とても豊かで、シンプルで、身体的です。
スマホ、ゲーム、YouTube等の、高刺激の画面視聴時間とは比べ物にならないほど創造的です。
だから、大人の役割はただひとつ。
危険な方向(過剰な画面刺激)から子どもをそっと遠ざけ、
“本来の遊び=学び” へ戻す道を整えてあげること。
これができると、子どもは自然と穏やかになります。
親もイライラしなくなります。
まとめ 〜 ケンカしない家がしている3つのこと 〜
①スマホ、ゲーム、YouTubeへの導線を“物理的に”遠ざける
→ 見えないだけで、欲求が激減する。脳の反応として当然。
② 本来の「遊び=学び」に戻れる環境を置いておく
→ 子どもの内側の欲求は、本来クリエイティブで身体的。
③ ルールは“曖昧”ではなく“一貫性”
→ 「一貫している=予測できる」は、子どもにとって最大の安心。
スマホやゲームとケンカしない家は、怖い家でも、厳しすぎる家でもない。
実はただ、上手に“環境づくり”ができている家です。
スマホやゲーム、Youtubeで、子どもは集中しているのでも、学びを深めているのでもない。
強すぎる刺激に脳がぐいっと引っ張られてるだけ。
あなたの家も、ちょこっと仕組みを変えるだけで必ず変わります。
永島瑠美

ナガシマ教育研究所(株式会社塾のナガシマ)」代表。「中学受験ラボ」代表。2015年から横浜市金沢区でナガシマ教育研究所(学習塾・学童保育)を経営。子どもの学習指導と中学受験のプロフェッショナル。指導歴は1000人以上。保育士、児童発達支援士、児童心理カウンセラー、勉強法アドバイザー。
また、教育学の研究者としても活動。東京大学教育学部卒。教育学修士。所属は日本教授学習心理学会、日本教育方法学会等。毎日子どもに向き合う実践的研究者として、現場のリアルと学問をつなぐ。最新の教育学研究の知見を、子育てに活かせる形で、わかりやすくお母さん・お父さんに伝えている。講演実績、イベント主催実績多数。
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