「教育オタク 永島瑠美」が誕生したワケ

私には、教育の道を歩き始めた頃から、ずっと揺らがない確信があります。
子どもが笑っているとき、
その子は一番学んでいる。
こんなに単純なことが、教育の根っこには大きな意味を持っています。
子どもは、安心しているとき、心が動いているときにこそ伸びていきます。
「やりなさい」と言われたときではなく、「やってみたい」と自分の内側から火がついた瞬間に、学びは芽を出し、枝を伸ばしていく。
私はこの現象を、これまで出会った無数の子どもたちの姿から何度も確信してきました。
学問 × 現場、その両方で見つけた「学びの本質」
私は東京大学と大学院で教育心理学を専攻しました。
研究室では、動機づけ理論・発達心理学・認知心理学など、子どもの成長を支える学問の本質を追い続けました。
そして、日々、私が心を揺さぶられているのは、教室や塾で出会う子どもたちの“生の表情”です。
- 「わかった!」と顔が輝いた瞬間
- 苦手だった問題に初めて挑んだ瞬間
- できなかった過去を乗り越えた瞬間
研究で読んだ理論が、子どもたちの姿によって立体化していく感覚。
この体験が、私の教育の軸を形づくっていきました。
そして気づきました。
点数や偏差値よりも、「学びを楽しむ力」が人を支えていく。
テストのための勉強は、人生のほんの一部です。
本当に必要なのは、自分の世界を広げるための“学びの道具”を、自分で取りに行く力です。
だから私は、「勉強しなさい」ではなく「いっしょに探してみよう」 と声をかけたいのです。
学習塾・学童保育の現場で見てきた“目が光る瞬間”
2015年、私は学習塾を立ち上げました。
小さな教室で、毎日のように子どもたちと机を並べてきました。
通ってきたのは、勉強がとくいな子ばかりではありません。
むしろ——
- 「やりたくない」
- 「どうせできない」
- 「勉強って何の意味があるの」
そんな思いを抱いた子どもの方が多かった。
でも私はその姿を見るたびワクワクします。
「この子が、学びを楽しむ日は必ず来る」と知っているからです。
難関中学、難関高校に合格した子もたくさんいます。
でも私が心から誇りたいのは、勉強嫌いだった子が、勉強を“自分のもの”にしていく姿です。
プリントに向かっていた横顔がふっと明るくなる瞬間。
「次のページもやってみてもいい?」と照れた声が聞こえた瞬間。
その数えきれない瞬間が、「教育オタク 永島瑠美」を形作ってきました。
発達を“まるごと”理解したくて
2020年、私は保育士資格を取得し、学童保育を立ち上げました。
それはキャリアの選択というより、子どもの理解の“幅”を広げるための必然でした。
教育心理学を学び、学習塾を経営し、子どもたちの「学び」に向き合ってきた私は、やがて気づきました。
“勉強”だけを見ていては、本当の姿には触れられない。
幼児が転がるように笑いながら「なんで?なんで?どうして?」と質問をくり返す瞬間。
あの止められない探究心は、認知発達の大きな飛躍のサインです。
小学生が「見てて!これできるようになった!」と誇らしげに胸を張る瞬間。
その行動の裏には、自己効力感(できるかもしれないという感覚)の芽生えがあります。
思春期の子が「勉強なんて意味ない」と言うとき、それは大人への反抗ではなく、
“自分とは何か”を探るプロセスに他なりません。
こうした年齢ごとにまったく違う“心の動き”を理解するために、
私は幼児から高校生まで一貫して関われる環境をつくりました。
さらに、発達支援士の資格を取り、発達障害・学習障害のある子どもたちへの支援を本格的にスタート。
そこでは毎日、
「この子は勉強ができない」のではなく、
「この子に合わせた学び方が存在する」という
教育の本質を痛感します。
保護者にそのことをお伝えすると、表情がすっと緩み、涙がにじむことがあります。
それは、“わが子の未来を信じていいんだ”と確信できる瞬間だからです。
4人の子どもを育ててきた“母としての私”
そして何より、私は専門家である前に4人の子どもの母です。
教育心理学を学び、現場経験を積み、発達の知識を身につけても——
それでも母として揺れる日はあります。
宿題を見ていて、「なんでこんな簡単なのに…」とつい声が大きくなった日。
忙しさや疲れがたまって、子どもの呼びかけにうまく応えられず、ため息ばかりが出てしまった夜。
「理屈ではわかるのに、心がついてこない」そんな葛藤を抱えたまま、自分の未熟さに落ち込んだことだって数えきれません。
でも、その失敗の積み重ねが、私をますます「教育オタク」にしていきました。
子どもが机から逃げ出す瞬間の気持ち、
イライラする親の胸の痛み、
両方を私は身をもって知っています。
つまり私は、「専門家」であり、「当事者」であり、「失敗ばかりしている人」でもある。
この両側の視点があるからこそ、
私は子育てと教育の現場で、保護者にも子どもにも寄り添えるのだと思っています。
相談の場に笑いが生まれる理由
これまで2000人以上の保護者と向き合ってきました。
ひとりひとりの声には、その人だけの背景と物語があります。
「うちの子、このまま落ちこぼれるのではないか…」
「やる気がない子に、どう声をかければいいのか…」
「毎日怒ってばかりで、親として自信がなくなってきました…」
悩みの言葉は違っても、どの相談の奥にも共通しているものがあります。
それは、深い不安と深い愛情が、いつもセットになっているということ。
不安があるのは、“この子の未来を本気で大切に思っているから”です。
私はそんな保護者の言葉を受け取るとき、まず徹底的に耳を傾けます。
言葉だけではなく、声のトーン、表情、ため息、その沈黙さえも、すべてが大切な情報です。
そして私は、まっすぐ頷きながらこう伝えます。
「大丈夫です。悩んでいるということは、
すでに“育ちの途中”に立っている証拠です。
そのしんどさ、いっしょに笑いに変えていきましょう。」
すると、本当に不思議な変化が起こります。
話すほどに、
固まっていた表情がゆるみ始める。
言葉に詰まっていた息がゆっくり流れはじめる。
目の奥に少しずつ光が戻り、
最後にはふっと笑顔が浮かぶ。
これは、私の力ではありません。
人が誰かに理解されるとき、人は自然と立ち直る力を取り戻すのです。
私の役割は、相談してくれた方の不安をゼロにすることではありません。
不安の奥に隠れている「希望の芽」をいっしょに見つけ、その芽が息をしはじめるような空気をつくることです。
笑いというのは、軽さではありません。
笑えるというのは、「大丈夫」という感覚を心に取り戻した証拠です。
相談に来てくださった方が笑いを取り戻した時、いつも「ああ、今日も未来が動き始めたな」と感じます。
私の使命は、ただひとつ〜子どもも、大人も、笑って学べる社会をつくる〜
私が教育を仕事にしている理由は、とてもシンプルで、そして揺らぐことがありません。
子どもも、お母さんお父さんも、先生も、みんなが“笑って学べる社会”をつくりたい。
「勉強しないと将来お金に困るよ!」
「早く勉強しなさい!」
「わが子が勉強しない姿を見て不安ばかり…」
「今みたいに勉強できないままでこの子の将来は大丈夫なの?」
こうしたネガティブな勉強観、不安でいっぱいの勉強観をときほぐしていきたい。
笑っているとき、脳は緩んで柔らかくなります。
新しいことを受け取る準備が整います。
挑戦する気持ちも湧いてきます。
逆に、
緊張しているとき、焦っているとき、不安なとき、
「間違えてはいけない」と思っているとき、
脳は縮こまり、本来の力を発揮できません。
私は教育心理学の研究と現場経験から、何千回もこの事実を見てきました。
だから私が目指す社会には、こんな姿があります。
◎ 子どもが「やってみたい」と心から思えるものを見つけ、やれる環境
◎ 親が「見守る」という豊かな関わり方を選べる余裕
◎ 大人が「点数」ではなく「育ち」を語り合える文化
◎ 家庭でも学校でも、学習中に安心して間違えられる空気、失敗できる空気
これらがそろえば、学びは“義務”から“喜び”へと変わります。
この社会を実現するために、私は今日も——
・学習塾と学童で子どもたちと向き合い
・研究で最新の知見を吸収し
・保護者の悩みと笑いに寄り添い
・学びの仕組みをつくり続けています
子どもが見せる小さな「わかった!」は、将来の大きな「できた!」につながる種です。
その瞬間をひとつでも多く生み出すことが、私が教育を続ける理由であり、誇りです。
最後に——
あなたとお子さんの学びが、今日よりもう一歩だけ、おもしろく、やさしく、あたたかく動き出しますように。
その小さな一歩が、未来の大きな力に変わることを私は知っています。
私はその瞬間を信じ、支え、いっしょに歩き続けるために教育の道を選びました。
それこそが、私が教育の世界に身を置き続ける理由であり、「教育オタク 永島瑠美」が誕生した原点です。
永島瑠美

ナガシマ教育研究所(株式会社塾のナガシマ)」代表。「中学受験ラボ」代表。2015年から横浜市金沢区でナガシマ教育研究所(学習塾・学童保育)を経営。子どもの学習指導と中学受験のプロフェッショナル。指導歴は1000人以上。保育士、児童発達支援士、児童心理カウンセラー、勉強法アドバイザー。
また、教育学の研究者としても活動。東京大学教育学部卒。教育学修士。所属は日本教授学習心理学会、日本教育方法学会等。毎日子どもに向き合う実践的研究者として、現場のリアルと学問をつなぐ。最新の教育学研究の知見を、子育てに活かせる形で、わかりやすくお母さん・お父さんに伝えている。講演実績、イベント主催実績多数。
4人の子どもの母として、子育て真っ最中。
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